NEW
2024年05月17日

米住宅着工・許可件数(24年4月)-着工件数は前月から増加も市場予想を下回る

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

文字サイズ

1.結果の概要:住宅着工、許可件数ともに市場予想を下回る

5月16日、米国センサス局は4月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は136.0万件(前月改定値:128.7万件)と132.1万件から下方修正された前月を上回った一方、市場予想の142.1万件(Bloomberg集計の中央値)を下回った(図表1、図表3)。

先行指標である着工許可件数(季節調整済、年率)は144.0万件(前月改定値:148.5万件)と145.8万件から上方修正された前月、市場予想の148.0万件を下回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:着工件数、許可件数ともに戸建て住宅が減少

住宅着工件数の伸びは前月比+5.7%(前月:▲16.8%)と2桁のマイナスとなった前月の反動もあってプラスに転じた(図表3)。戸建てが▲0.4%(前月:▲8.7%)と2ヵ月連続でマイナスとなったものの、集合住宅が+30.6%(前月:▲38.8%)と、こちらは2桁のマイナスとなった前月の反動もあって2桁のプラスに転じ全体を押し上げた(図表4)。

前年同月比は▲0.6%(前月:▲4.1%)と2ヵ月連続のマイナスとなった。内訳をみると、戸建てが+17.7%(前月:+25.9%)と2桁のプラスを維持した一方、集合住宅が▲33.1%(前月:▲51.5%)と戸建ての増加を上回る落ち込みを示して全体を押し下げた。

地域別寄与度(前月比)は、北東部が▲1.6%ポイント(前月:▲1.7%ポイント)、西部が▲0.6%ポイント(前月:▲0.6%ポイント)と前月に続いてマイナスとなった一方、中西部が+2.3%ポイント(前月:▲5.6%ポイント)、南部が+5.7%ポイント(前月:▲8.9%ポイント)と前月からプラスに転じて全体を押し上げた。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比が▲3.0%(前月:▲5.0%)と2ヵ月連続のマイナスとなった(図表5)。戸建てが▲0.8%(前月:▲4.2%)と3ヵ月連続のマイナスとなったほか、集合住宅も▲7.4%(前月:▲6.5%)と2ヵ月連続のマイナスとなった(図表6)。

前年同月比は▲2.0%(前月:▲0.5%)と3ヵ月連続のマイナスとなった。戸建てが+11.4%(前月:+16.0%)と8ヵ月連続で2桁のプラスを維持した一方、集合住宅が▲21.9%(前月:▲22.3%)と、こちらは8ヵ月連続で2桁のマイナスとなって全体を押し下げた。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅市場指数(項目別) 一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、5月が45(前月:51)と6ヵ月ぶりに前月から低下したほか、市場予想(50)を大幅に下回った(図表7)。

内訳は販売現況が51(前月:57)、販売見込みが51(前月:60)、客足が30(前月:34)とそれぞれ前月から悪化した。

NAHBの首席エコノミスト、ロバート・ディーツ氏は「インフレ抑制に進展が見られなかったため、第1四半期に長期金利が上昇し、これがビルダー心理の足かせとなっている」と述べており、住宅ローン金利の上昇が建設業者のセンチメントを悪化させている可能性を示した。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
Xでシェアする Facebookでシェアする

経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2024年05月17日「経済・金融フラッシュ」)

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【米住宅着工・許可件数(24年4月)-着工件数は前月から増加も市場予想を下回る】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

米住宅着工・許可件数(24年4月)-着工件数は前月から増加も市場予想を下回るのレポート Topへ